家計部門は、企業部門の自信喪失と金融危機の残存という複合した要因から、2つの深刻な問題に直面した。1つは歴史的な雇用の悪化である。失業率は09年10月に10.1%に達し、その後も9%台後半にとどまり続けている(図2)。七かも、失業者の4割強は失業期間が27週間以上の長期失業者が占めるという過去にない質的な悪化が起きている。労働力の稼働率を示す不完全雇用率も09年秋以降は17%前後の過去最高水準からなかなか下がらない。
もう1つの問題は、家計部門が過大債務の削減を強く求められるようになったことである。金融危機前の家計部門が所得に比べて過剰な債務を抱えていたことは確かだが、金融危機の収束後にも信用収縮が残ったために、家計のキャッシュフローが圧迫され、消費に対する強い下押し圧力が生じてしまった。
金融危機が収束したにもかかわらず企業と家計が以上の問題に直面した結果、09年の内需は金融危機下の年前半の落ち込みが大きくなった一方で、年後半は回復に転じたものの、そのペースは緩慢にとどまった。この間、新興国の堅調な景気回復を背景に輸出は年後半に順調に伸びたが、GDPに占めるその割合は小さかったため、景気を押し上げる効果は限られた。 GDPギャップは09年前半には80年代前半以来の7%台に達し、その後も回復は緩やかであるために今後、デフレ圧力が長期化する恐れを残す状態になった。
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